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グラビアの美少女 #386「へぇ、かわいい女の子ですね、先輩」オレがグラビアの美少女を見ていると、後ろから声をかけられた。 『グラビアの美少女』とは、スカパーなどで提供されているチャンネルMOND21で放送しているアイドル紹介番組である。好不調の波は激しいがキラリと光る原石が潜んでいるプログラムである、とオレは思う。
「そうだろう、藤咲みゆって言うんだ」「知らないなー。売れてないんですかね」 「知らないはずはなかろう。彼女は水星アイドルだったんだぞ」 「余計にわかりませんが」 わからないとは何事だ。オレは憤然として、彼女がテレビ『ルドイア☆星惑三第』の番組内オーディションに合格したこと、初代水星アイドル・水星ららとして人気を博したこと、隠れ趣味がコスプレであること、なのに公の場でしばしばコスプレ姿を披露していて全然隠れていないことなどを言いつのった。 「見るがいい、この勇姿を。聞くがいい、自前のを持ってきたとぬけぬけと話すその胆力を。すばらしきかな、藤咲みゆ。ああ、その存在、歴史に屹立せん」「オタクなんですか?」 「彼女はオタクではない。スペシャリストだ!」 「いや、先輩のことです」 太陽は東から昇るのですか、のような愚問だったので、オレは冷笑を返した。 「それは置いておくとして。調べてみて分かったんだが、彼女はもう藤咲みゆの名前では活動しておらず、七瀬あずみに変更して活動をしているらしい」 「へぇ、RPGでだってそう簡単には名前変えられないのに」 「事務所を移って変更したんだそうだ」 「きなくさいですね」 おとなの世界だからな。オレは知った風な口をたたいた。 「まあ新選組の斉藤一だって所属する組織が変わる毎どころか気分次第で名前変えているんだ。懐古趣味なんだろう」 「先輩って、関係ありそうで関係のない話をしますよね」 オレは丁重に無視した。
「しかも、見るがいい」オレは立ち上がり、後輩に向かって両腕を広げた。彼女はメイド姿もきっちりと押さえている。しかも衣装は自前だ。公式ブログを見る限り料理が好きは確かなようだ。出来前の写真や包丁さばきをみる限り、味の方も猫のたまをケイレンさせ、食したもののセイカクハンテンさせるレベルにあると思われる。 やはり彼女はベストだ! こんな恋人がいたら。オレは妄想した。 「コスプレかぁ。いいですよね。買いに行こうかなぁ」 そうつぶやく後輩をかわいいやつ、もっと同じ感覚を持つ同好の士が増えればいい、と思いながら、オレは画面へ視線を戻すのであった。 (おわり) (Noted: 2008/02/23)
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