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「ちょっと待ったあぁ!」
雄叫びと共に部屋に飛び込み、今まさにまぐわろうとしていたリュカとフローラを引き離して、お嬢様が軽々しくそんなことするものではないわ、リュカも経験浅いんだし、そうね、まずは私が見本を見せてあげる、うふふ──と、そうしたい気分でドアの前にビアンカは立っていた。
部屋の中からは二人の甘い吐息が聴こえてくる。ベッドのきしみ。ビアンカは気持ちが沈んでくるのが自分でも分かった。
リュカがフローラと……と言うことはショックであったが、それよりも、やられた、という気持ちの方が大きかった。
「負け……かなぁ」
そんな呟きを漏らす。
リュカがどちらも(自分を)選ばずに出ていったとき、初めてビアンカは自分の本当の気持ちに気付いたような気がする。リュカと一緒にいたい。そう思ったからこそ、今夜リュカの部屋の前まで来たのだ。それが──。
正直言って、フローラがこんなに積極的に行動するとは、ビアンカは思っていなかったのだ。先を越されてしまった。
(フローラもリュカのことがそんなに好きだったんだ)
かすかに廊下に洩れてくる、二人の声。
せつなく喘いでいるフローラ。
その彼女に没頭しているリュカ。
そして、互いの名を呼び合う声が徐々に高くなっていく。
静寂が戻ってくるまで立ちつくしているビアンカの頬は、瞳から溢れるもので濡れていた。
朝──。
窓から射し込んでくる陽光を頬に感じて、リュカは目を醒ました。
胸の中に、白く、柔らかなものが在った。
身を縮めるようにして、寄り添って眠っている女性。掛けられたシーツの他には、一糸も纏っていない。その雪のように白い肌の上には、昨夜の営みを想像させる赤い跡が花びらのように散っていた。
綺麗だな。リュカは素直にそう思い、その女性の柔らかな髪を撫でた。それだけで、愛しさが胸に溢れてくる。髪の毛へのキスをはさみながら、リュカはずっとそうしていた。
しばらくすると、うぅん……とある意味悩ましげな吐息を漏らしながら、彼女は目を醒ました。
「おはよう」
そういうリュカに寝ぼけ眼を向けたあと、彼女は微笑み「おはよう」とキスをした。
しばらくの間、二人は何度もついばむようなキスを続けた。
肌と肌が触れ合う。
軽い戯れ──。それがいつしか、激しく愛し合う男女の営みに変わっていた。
「あっ……好きだよ……リュカ」
「ぼくもだよ」
白い肌を優しく愛撫しながら、リュカは耳元で囁いた。その声だけで、腕の中の肢体は熱く高揚していくようだった。
女性の中心に指が這う。
「あっ……」
「もう、こんなに──」
「いや……」
熱いものがドンドンあふれてくる。感じているんだ、そう思うとリュカは頭に血が上って何も考えられなくなる。
リュカは彼女にのしかかり、すでに硬くなっているものを熱い洪水の表面へ這わせ、そして、埋め込んでいく。暖かな感触に包まれ、リュカは天にも昇る気持ちだった。
「ああっ、やだ……そんな……」
彼女の喘ぐ声を聴きながら、腰を動かす。優しく、激しく……強弱をつけながら、気持ちよさを味わいながら、相手への想いを胸の中にいっぱいにしながら、リュカは自らを女性の中心へつきたてていた。
終わりが来る。
「あっ、あっ、あぁ……あん、いいよぉ、リュカぁぁっっ!」
女のせつない声も高まったその瞬間──、リュカは熱いものを女の中に放出した。
挿入したまま、リュカは女の髪を撫でた。
柔らかな──、澄んだ金色の髪の毛を。
そして囁いた。
「好きだよ、ビアンカ──」
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