矢島くんの楽しい日々


 ラブコメ男、矢島。後世、彼はそう呼ばれることになる。ちなみに現世でも裏ではそう呼ばれている。前世でもそう呼ばれていたかもしれない。
 バスケ部のエース、容姿端麗、学力上々、話術も巧みとあっては、女生徒にモテない方がおかしい。
 しかし、彼の恋の結末は何故か失恋ばかりだ。
 どうしても欲しいと思うものだけは、手に入らないのである。惚れる女には、何かしら男がついているのだ。よって彼は、恋を邪魔する伊達男──といった役回りにしかなれない。

 今、彼には「良いな」と思っている女性がいた。
 神岸あかり。
 おさげが可愛い16歳である。
 その彼女が、髪型を変えた。
 矢島は神岸あかりが可愛い子だと言うことをしっていたし、見る目のある者は、いささか地味でおとなしめの彼女の中の輝くものに気付いていた。だが、あくまでも少数派に過ぎなかったのである。
 しかし、その彼女が変わった。
 結果、増えた。彼女を狙う獣たちが。
 彼女の持つ本来の価値から言えば、それでもまだ少ないと言えるかもしれないが、ライバルが格段に増えたことは確かだ。しかも、彼女の側にはいつもある男の姿があった。
 藤田浩之。
 幼なじみで、恋人関係ではないようだ。しかも、ヤツには他にも仲のよい女性が沢山いたので、神岸あかりに思いを寄せる男達に「アタックしてもダメだ」と思わせるものではなかった。嫉まれてはいたが。

「神岸あかり……藤田浩之の幼なじみ……か」
 矢島は呟いた。
 修学旅行の説明、班分けのため、二年生は全員体育館に集まっていた。視界の中に神岸あかりの姿を認めて、視線を彼女の方向に固定する。
 彼女は控えめな微笑みを見せていた。お下げ髪をやめた彼女は前にも増して輝きを放っている…、矢島はそう思う。
 彼女らしい、控えめな輝き。
 一層想いが強くなる。彼女を自分のモノにしたい! ……と。
 修学旅行の間に、どうにかして神岸さんにお近づきになりたい。その思いが胸の中で激しく渦巻いた。




「あっ…」
 神岸さんが柔らかい吐息をもらす。その声はオレの思考をさらに浸食していった。服の上から胸を撫でる。衣服を通しても彼女の胸の感触が感じられて、気持ちがいい。時間を忘れて揉み続けた。
「あの……ダメ……だよ」
 胸の上を這い回る彼の腕を掴んで、上にのしかかろうとするオレの逞しい身体を押しやろうとする。しかしその力はごく弱く、全く意味をなさない。……オレをさらに興奮させてしまうと言う効果はあったが……。

 オレは神岸さんの右隣に座っていた。
 左腕は彼女の首の後ろから左肩へ伸びて抱き寄せ、そして右腕は彼女の胸を堪能するために蠢き続けていた。
「怖いよぉ…」
 そう呟きながら、表情を隠すように彼の胸に顔を押しつけてくる。その動作が可愛く感じられて、オレは抱き寄せる左腕に力を込めた。そして右腕を胸から離し、彼女の頬を撫でる。
「…あ……」
 真っ赤になったあかりの顔を優しく見つめ、自分の方へ向かせた。
 髪の毛を撫でると、それだけで幸せな気持ちだ。彼女も何か安心したような表情を見せてくれるので嬉しくなってきた。
 頬と顎のあたりを撫でながら見つめているオレの意図を分かってくれた神岸さんは…眼を閉じていった。微かに震えている。
 ゆっくりと顔を近づけ……
 そして、
 唇を重ねた。
「んっ……」
 神岸あかりの吐息が洩れた。キスというのは、なんて幸せな一時なのだろうか。
 唇を離し、再び彼女の顔を見つめると、彼女はボーっとなりながらもオレの顔を見つめてくれた。
「あのっ…矢島くん…わ、私ね…初めてなんだ」
 どもりながら言う彼女が愛おしい。
 俯いて、またオレの胸に顔を押しつけて、彼女は表情を隠す。

 もう──ダメだった。
 理性が飛んでしまう。
 大好きな人がこうして胸の中にいる。長い間想いが届かなかった人が、今、こうして側にいる。それは……オレを弾けさせるに充分な要素だった。

「神岸さんっ!」
 オレは叫び、少し驚いたような彼女の唇を奪う。
「うむ…っっ」
 深いキス。さっきの重ねるだけのものではない。強く押しつけ、彼女の唇を舐めてみた。
 驚いたのか、少し開いてしまった彼女の唇……。オレはその中に舌を侵入させた。怖がって何もできないでいる彼女の舌に強引に絡め、味わう。しばらく舌を絡めた後口を離すと、彼女は突然のことに何も考えられないようになったみたいだった。
 オレは神岸さんの顔にキスの雨を降らしながら、今度は右手で胸も触る。
「あっ、だめっ…」
 声を無視して彼女のシャツのボタンを外していった。彼女はそれに気付いてなかったようで、オレの手が彼女の素肌に触れたときには相当吃驚した声をだした。
「ええっ……いつの間にぃ」
 逃げようとするが、それを許さない。左腕でさらに強く彼女を抱き寄せ、右手を彼女の上半身に這わせる。
 ブラジャーの上から揉んでみると、さっきよりさらに柔らかさが伝わってくる。ブラの上側から指を侵入させて、膨らみを直に触ってみると…彼女の反応が違ってきた。そして、それは胸の先端を触ったときに顕著になるようだ。
「あぁん…ヤだよぉ…怖い」
 そう言いながらも、ハァハァとつく息は官能の吐息が混ざっているような魅惑的なものだった。なのでオレも強引に事を進める。

 右手を背中にまわして、ブラのホックを外した。
 自由になった神岸さんの乳房を柔らかく揉む。そして胸の辺りに顔を近づけて、胸を舐めることを楽しむ。それと同時に右腕を下に降ろして、彼女のしなやかな足を堪能した。スカートの中に手が侵入し、パンツの上から彼女の秘所を触る。
「ああっ、そこは…だめだよっ」
 拒否の言葉を出しながら、離れようとした彼女をオレは床に押し倒した。
 抱きしめる。唇を重ねる。胸を愛撫する。
 もう止まらなかった。
 ボクは彼女の上にまたがると、パンティを脱がせてしまった。

 カチャカチャ……。
 ベルトを外し、ズボンとパンツを下ろしてペニスを取り出した。
 神岸さんは、もう何も考えられなくなったかのように、荒く息をつきながら、両腕で顔を隠している。
 上半身はボタンがすべて外されたシャツ、そしてホックが外されたブラジャー。下半身にはスカートと靴下だけ…。そのスカートの陰には彼女の秘所が息づいているのが見える。
 全部を脱がされているのではないところが、更にオレの情欲を高め、彼女の羞恥心と体の感度を高めていた。
 ペニスはすでに自分の人生でこんなに堅く、大きくなったことは無いくらいにそそり立っていて、早く女性の中に入りたい……と叫んでいるようだった。右手でつかむと、感度がいつもより高くなっているのか、それだけですごい快感が感じられる。
 これを…神岸さんの中に入れたら…どうなるんだろう?
 狂ってしまうくらい…気持ち良いんじゃないか…。
 そんな期待が頭の中を駆けめぐる。

 彼女の足を開いた。  スカートがまくり上げられ、女性器がハッキリとボクの目の前にさらされた。
「ああ…矢島くぅん…」
 指で彼女の秘所を愛撫する。すでに大量の愛液で溢れており、摩擦による痛みはなさそうだった。
 痛みを与えないように気を付けて、優しく愛撫する。
「あっ、あんっ…何…だろぅ…」
 小さい声で控えめに喘ぐ彼女は初めての性の快感に思考が出来なくなっているようだった。
 探り当てて、ボクは彼女の中に指を一本入れてみることにした。
「痛っ……」
 入れるときに少し痛がった神岸さんだが、すぐに愛液が溢れ…すべらかになったのか、気持ちよさそうな声をあげるようになった。指を出し入れすると、もう…彼女は「女」であった。
「ああっ、良いよぉ…気持ち良いの…」
 その声に励まされて出し入れのスピードを速める。
「くぅんっ、矢島くぅん…」
 指を抜いた。
「あっ…」
 両足を広げ、その間にボクは体を入れる。
 これから起こることを理解したのか、神岸さんはボクの顔を燃えるような瞳で見つめていた。多分、オレの目も、燃えるように熱くなっているのだろう。
 彼女の秘所にいきり立ったペニスを押し当てた。
「ああっ!」
 彼女はひときわ大きな声をあげた。
 ゆっくりと擦ると、彼女はもう狂うのではないかというくらいに興奮した反応を見せた。喘ぎ声が高く響く。
 彼女の顔の横に左ヒジを付き、右手をペニスにそえる。
「神岸さん…入れるよ…」
 ペニスの先端を彼女の入口に押し当て、見つめながら彼女に問いかける。小さく、何回も頷く彼女。
 オレの興奮も最高潮に達していた。はちきれんばかりに大きくなったペニスに、自分でも驚くくらいだ。
 それを、オレは神岸さんの中に沈めていった。
「ああああっ!」
 悲鳴。
 ゆっくりと、彼女の中に入る。もうすんなりと入るくらいに濡れていたらしい。彼女はそんなに苦しくないようだった。そう、苦しくないと言うことは……気持ち良いんだ……。

 もう、オレはゆっくりとするなんてことは出来ない。
 欲望のままに腰を動かす。
「ああっ、あんっ、気持ちいいよぉ……矢島くぅん」
「神岸さんっ……神岸……あかりぃ!」
 腰を叩き付けるように動かした。もう、そう長くもたないことは解っていた。あまりにも興奮していたので、すぐに達しそうだったのだ。
「あかりっ、オレ……イキたい!」
「う、うん……。うんっ、矢島くんっ、良いよぉっ」
 さらにペニスを突き入れるスピードを速める。彼女の中に…出したい!
「も……ダメだ……イクよっ」
「うんっ、きてっ」
 オレはずるい。彼女が言わなかったのを良いことに、もう外に出す…という気持ちさえもなくしている。中に……出すんだ。
「イクよっ。うう……」
 最後に腰を叩き付け、そのまま彼女の中に精液を放った。
 ドクッドクッッ
「ああっ! あ……あ……あぁ……」
 膣の奥にオレの発射する白濁した液が当たるのを感じた彼女は、その精神的な快感で絶頂に達した……。
 入れたまま……僕たちは抱き合った……。
「中に…出しちゃったね……」
 彼女は呟く。
「ごめん……」
「ううん……良いの。だって、矢島くん……のだから」
 微笑んで言う彼女。何か、オレはどうにかなってしまいそうな気分になった。
「あかり……」
「嬉しいよ」
「あかり……!」
 さらに強く抱きしめる。オレは自分が彼女の虜になっていることに気付いていた。もう、離れたくない。
 その想いが、節操のない自分のアレを、再び大きく、硬くさせていった。それは彼女にも解ってしまったようで……。
「あっ…」
 オレの顔を見直し、そして顔を赤くして呟く。
「……また……」
 節操なさが恥ずかしかったが、オレは何も言わずに腰を動かした。
「あっ……今は……」
 まだ感度が高いままのあかり。
「もう一度…あかりとしたい…」
 そう言いながら動く。
「もうっ…やってるよぉ」

 ……オレたちは、朝まで互いを感じあって過ごした。




 ……過ごした。
 ……過ごせた?
 ……過ごせたらいいなぁ。

「おい、矢島」
 修学旅行の間に彼女に告白して、惚れてしまった彼女をいてこましたる。
「矢島くんったら」
 そう、中に出すんだ。矢島の頭の中は桃色だった。
「矢島……何、難しい顔をして考え込んでいるんだ?」

 桃色の空想をしていても、顔には出ない男がいた。
 その名は矢島。
 彼が妄想しているとき、外から見た顔はまるで哲学的な思索に耽っているように見えるのである。
 そのミステリアスなところも、彼の人気の秘密でもあった。──しかし、何を考えているのかを彼女らが知れば、その評価は地に落ちるであろうことは間違いない。

 矢島は楽しい日々を過ごしている。
 しかし、妄想を本当のものに出来るかどうかは、神のみぞ知るところであった。