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「先輩、何個でした」
突然そう言う声がしたので振り向くと、後輩がチョコをこれ見よがしに食べながら話しかけてきていた。2月14日のことだ。実に不自然な行動だ、と思いながらオレは言葉を返した。 「いきなり何を言ってるんだ後輩。わからんぞ」 「またまた。分からないわけないでしょう。チョコですよ。チョ・コ・レ・イ・ト」 分かってて言ってるんだよ、何晴れ晴れした表情をしてるんだ、むかつくぜこの色ボケ魔人、とは言えず、オレはああそうかと曖昧に頷いた。カバンの中には1つのチョコも入ってはいなかった。 「先輩はさぞや沢山貰ったんでしょうね〜。ボクは3つでしたよ」 説得力のある数をあげた後輩は、にこやかな笑顔を向けてきた。その無邪気な顔を見てこちらの心も軽くなった、わけはなく、さらに重い空気を味わった。(*1)獅子咆哮弾ではなく、こいつのは(*2)猛虎高飛車だ。 どうせ義理なんだろう、オレだってそのうち1、2つは貰えるさ、行き場のない処分品だろうけどな。大事なのは数じゃない、心だ。そうだ、本命の1つさえあれば良いんだ。オレは涙で洪水状態の心の中で、そう何度も叫んでいた。口から出たのは「良かったじゃないか、後輩。でも二股三股かけちゃダメだぞ、大変だからな。男は誠意が大事だ」という先輩風に乗った言葉だけだった。 「はは、大丈夫ですよ、先輩じゃないんですから。あ、これから本命の彼女と一緒にいることにしたんですよ。やっぱこういう日は二人じゃないといけませんもんね。それじゃ」 そう言い残して、後輩は去っていった。
誰かオレに愛をくれないだろうか。心が寒いんだ。貴女がいない宇宙は暖かさがかけている、と言いたいんだよ。キルヒアイス役募集中。
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